–3日目-
Dart Hut~Cascade Saddle
20km,8~10時間(往復)
この日は待ちわびたカスケード•サドルへのトレッキングである。ダート小屋に連泊するため最低限の荷物で身軽に出発をする。とはいえ往復20kmの冒険である。
川に沿って歩いていき、まずはダート氷河の終着地点を目指す。朝日が山の影から姿を表すにつれ、明るさと気温が増してゆく。
いくつか川を横切るのだが、所々に誰かが作ったケルンがあり、何度もそれらに導かれた。
ケアの群れ。10羽以上はいたであろう。
まだ幼さが残り、とても可愛らしい。
山小屋を出て2、3時間すると、ダート氷河の終着地点にたどり着いた。
小さな氷河の塊を見つけた。
これが遥か昔より存在しているのだと思うと感慨深いものがある。
そして次はカスケード・サドルへの道をひたすらに登る。
登るにつれ、歩いてきた道沿いにある川、そして先ほどまでいた場所が見渡せ、また氷河の全貌も明らかになっていく。
所々、急な斜面や岩場もあり、体全体を使って登る。
ワナカ方面よりカスケード・サドルをこえ、ダート小屋を目指す人々ともすれ違った。このトラックもいつか歩いてみたいものである。
暑さも加わり息がも上がるが、最高の天気と景色に励まされつつ足を進める。
上から望む氷河も圧巻である。
どちらの方角を向いても息をのむような壮大な風景である。
リース・ダートトラックを歩く人がいれば、ぜひこの1日旅をするよう強くお勧めしたいものだ。
氷河拡大図。
ここも地球温暖化に伴い異常な速さで縮小していっているという。
この景色も、数十年後には見られないのかもしれない。
帰りは身軽に、しかし急斜面の下りであるので膝を痛めぬよう気を付けつつ下りる。
山小屋は2泊もすると、何となく家に帰ってきたような気分にもなりほっとする。
大冒険の感動に浸りつつ、心地よい疲れも相まってよく眠れた。
4日目
Dart Hut ~ Daleys Flat Hut
18km, 5~7時間
この日は初日と同じように淡々と歩いていく行程である。
歩き出しはブナの林を暫く進むが、やがて開けた草原に出る。ダート川を右手に、どんどん歩き進めていく。
昨日見た氷河から来た川が他の小川と合流し徐々に大きくなっていくのを眺めながら歩くとなんだか嬉しいような気分になる。
Daleys Flat Hutは森と川、どちらも近くのんびりとできるのだが、その分サンドフライも今までの中で1番多かったような印象である。
山小屋泊もここで最後だと思うと少し寂しい気もし、最後の晩餐をじっくりと堪能する。
5日目
Daleys Flat Hut ~ Chinamans Car Park
16㎞, 5時間半~7時間半
最終日、バスの予約もある為この日はいつもより時計を頻繁に確認しつつ歩いていく。
山小屋を出て、そのまま森の中を歩く道である。
地滑りのため一部封鎖されていた時期もあり、新しく作られたトラックを進む。昨年であっただろうか、大雨でここがまた被害を受けたと聞いたのでまたトラックの変更があったかもしれない。
途中で見た枯れ木と川の奇麗な水色の景色が非常に印象的であった。
氷河から作られた川や湖は不思議な色を作り出してくれる。
森の中を歩いたり、表情を変える川を眺めながら歩いていたりと飽きることもない。
下流に行くとジェットボートが客を乗せ、走っているのが見えた。もう文明の介入するところまで戻ってきたのだなと実感する。
駐車場が見えたときはほっとしたような、寂しいようなそして達成感もあり複雑な感覚だったのを覚えている。
バス組は散策したり、写真撮影したりお茶を沸かしたりと思い思いに時間を過ごしている。
私も達成感に浸りつつ周囲の風景を楽しんだ。
バスでグレノーキーへ、そしてクイーンズタウンへの帰途へ着く。
熱いシャワーで思い切り頭を洗い、冷たいアイスクリームを頬張りたいものだ。
私がここを歩くのが好きな理由の一つが、湖を形作っている川の一つを遡り、その源流へ、そしてさらにその元となる氷河を自分の足で訪れるというところにある。この地域の自然の歴史を五感で感じ取るというのは感慨深いものだ。
今年は歩きに行けるのかまだわからぬが、ぜひピプ君に私のお気に入りの場所の一つを見せたいものである。
アルバトロスとホロカカ(Horokaka)
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